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旅猫のお絵かき帳

旅行写真とイラスト

絵日記:はな子

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はな子をちゃんと認識するようになったのは大島弓子さんの本を読んでからだった。セーラー服を着た大きな女の子。ゾウのはな子さん。

 

「毎日何考えて足をのばしたりちぢめたりしているのかな」というセリフの後、繰り返して印刷された「タイの密林」という言葉が目に入った時、とてもやるせない気持ちになったのを覚えている。

 

しばらくして動物園ではな子に会った。狭いところで人々に背中を向いて立っていて、動かなかった。人々は彼女を眺めて老弱男女関係なく同情混じった言葉を投げていた。

 

孤独と鬱憤で満ちた道を歩んできたはな子に同情の言葉以外に渡せる言葉はないだろうが、動物園の存在意義とか感情豊かな動物が感じたその気分とか諸々考えるとただ同情の言葉を言うのも、無関心を装うことも、どれも選ぶことができなくなるのだった。

 

なくなったのを知ってからも同じく矛盾する数多くの考えの中に浸かっていたが、感情を持ち他の個体と関係を持つ人間とは変わらない生き物が不幸な環境にいたことは悲しみ以外に何でもないだろうと、そうまとめた。罪悪感を払い、ふき取るように。

 

ゾウは忘れないという話をよく聞く。頭のよい動物だから実際そうだろう。はな子は生まれたタイのこと、タイの密林のことを覚えていたかな。そうだったらまたやるせない気持ちが込み上がってくるのだった。

 

  

サバの秋の夜長 (白泉社文庫)

サバの秋の夜長 (白泉社文庫)

 

 

 

2016/5/28(土)追記

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片付けしていたらはな子の絵が出てきた。変な気分。